「引き寄せ」を信じる?信じない?より大事な経営に活かすの使い方:結果を産むのは「整った脳の状態」だった!

経営者の方であれば「引き寄せの法則」という言葉を、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

「自分が思っている物事が自然と現実になる」という考え方で、「本当に?」「信じがたい」と思う経営者も少なくありません。

しかし、スピリチュアルな話として片付ける前に、少し考えてみてください。

引き寄せの法則では、「良い気分」でいることが大切だと言われます。以前のコラムで書いたように、良い気分でいると、良いひらめきが得られます。そして、そのひらめきを行動に移せば、思いがけない成果につながるかもしれません。

▶︎▶︎▶︎コラム:考えすぎる経営者ほど、判断が遅くなる!? 思考の「質」を上げる脳の使い方

そうであれば、信じる信じないは別にして、「引き寄せの法則」を上手く使うのが、良い経営者に求められる姿勢のはずです。

今回は、そんな「引き寄せの法則」の経営への活かし方を紹介します。

経営者の「良い気分」は一般とは違う

問題は「引き寄せ」の概念そのものではなく、経営者にとっての「良い気分」が、一般的に語られるものとまったく別物なことです。

引き寄せの文脈でよく言われる「良い気分」の作り方はこういったものです。

  • 美味しいものを食べる
  • 旅行に行く
  • ゆっくりリラックスする

もちろん間違いではありません。ただ、経営者にとってそれが機能しにくい理由があります。

「やらなきゃ」と思っている時間が、最もエネルギーを奪う

脳科学が示すのは、タスクを実際にやっている最中より、「やらなければ」と考えている時間の方が強いストレスを生むという事実です。

「やらなきゃ」と思っている時、脳は無意識に問題全体を一度に抱え込もうとします。

失敗したらどうなるか、全部終わるだろうか、他にも積み残しがある。そうした思考が並行して走り始め、脳のリソースは見えない負荷で埋まっていきます。

脳が並行して走らせている思考
失敗したらどうなるか
全部終わるだろうか
他にも積み残しがある

美味しい食事の最中でも、頭のどこかで案件を考えているとしたら、それはサボっているのではなく、脳がその状態から抜け出せていないだけです。


経営者の「良い気分」は、没頭の中にある

では、経営者にとっての「良い気分」はどこにあるのでしょうか。

多くの経営者が実感として持っているはずです。仕事でも趣味でも、何かに完全に集中している時間。時間の感覚が薄れ、思考がクリアになり、判断が自然に出てくる、あの状態です。

心理学者ミハイ・チクセントミハイが名付けた「フロー状態」と呼ばれるものです。

フロー状態で脳に起きていること

フロー状態では、ストレスホルモンであるコルチゾールが低下し、ドーパミンとノルエピネフリンが分泌されます。集中力が高まり、創造性が増し、意思決定の精度も上がる。

引き寄せの文脈で言えば、これこそが「最も良いひらめきが生まれる状態」です。

そしてこのフロー状態は、ぼんやりしている時ではなく、適切な難易度の課題に集中している時に生まれます。経営者が「何もしないリラックス」よりも「没頭できる何か」を必要としているのは、感覚的に正しいのです。


脳を切り替える2つのアプローチ

問題は、仕事だけでフロー状態を維持し続けることには限界があるということです。同じ種類の集中を長時間続けると、脳は疲弊し、フローに入りにくくなります。

そこで有効なのが、「仕事とは別の回路でフローをつくる」という発想です。

アプローチ①:体を動かす

ひとつは、体を動かすことです。歩く、泳ぐ、テニスの打ちっぱなし。身体を動かすと、過剰思考を担う前頭前野の活動が抑えられ、運動・感覚処理の回路が優位になります。

スタンフォード大学の研究では、歩行が創造的思考を平均81%向上させることが示されています。「考えないようにしよう」と頭で頑張るより、体を動かす方がはるかに早く思考のループを止められます。

おすすめの行動例

  • ウォーキング(15〜20分)
  • 水泳
  • ゴルフの打ちっぱなし
  • 縄跳び

アプローチ②:小さな反復行動をする

もうひとつは、小さな反復行動です。

楽器の練習、料理、単純な手作業。予測可能な反復はドーパミンを分泌させ、「制御できている感覚」をもたらします。この感覚が、大きく見える問題を前にした時の過剰なストレス反応を和らげます。

経営者が趣味のゴルフや料理に没頭する時間を「無駄」と感じる必要はまったくありません。それは脳の整備時間として、実務に直接還元されています。

おすすめの行動例

  • 楽器の練習
  • 料理
  • 折り紙・手芸などの手作業
  • 子どもと塗り絵をする
2つのアプローチの違い体を動かす反復行動
主な効果思考ループをリセット制御感・満足感の回復
向いている場面頭が熱くなっている時、同じことをぐるぐる考えている時不安が高まっている時、やる気が出ない時
所要時間の目安15〜30分20〜60分

引き寄せの正体は「整った状態で動く」

引き寄せの法則が示唆していることを、もし脳科学の言葉で言い直すとすれば、こうなります。

脳が良い状態にある時、判断の質が上がる。ひらめきが生まれやすくなる。行動につながる直感が働く。そしてその行動が、結果を動かす。

脳が良い状態にある
   ↓
判断の質が上がり、ひらめきが生まれやすくなる
   ↓
行動につながる直感が働く
   ↓
その行動が、結果を動かす

「待っていたら引き寄せられた」ではなく、「整った状態で動いた結果として、物事が動き始めた」。経営者の感覚からすれば、こちらの方が腑に落ちるはずです。

重要なのは、その「整った状態」を意図的につくる技術を持っているかどうかです。それは精神論でも習慣術でもなく、自分の脳と感情の仕組みを理解した上でのセルフマネジメント法です。

経営者が一人で抱え込みがちな思考の重さは、能力の問題ではなく、脳の状態の問題であることがほとんどです。

整理しきれないと感じた時は、ぜひ一度私にも話してください。

投稿者プロフィール

濱島ゆき
濱島ゆき
カリフォルニア大学サンディエゴ校卒業後、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなど、外資系金融機関でキャリアを重ねる。シンガポール勤務を機にコーチングと出会い、国際コーチング連盟(ICF)認定コーチ資格を取得。現在は、国内外の経営者・リーダー層を中心にセッションを行っている。

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